学会報告・3

2021/11/01(月)

院長の桝谷です。

20211031日に「第223回日本耳鼻咽喉科学会北海道地方会 」が開催され、今回は2演題発表してきました。

1つ目は「後天性外耳道狭窄症に対してPolyglicolic acid sheetを使用した新たな手術治療の試み 」というものです。

後天性外耳道狭窄は、主に耳掃除をやりすぎて感染を繰り返したりすることで発症する病で、聞こえの低下、耳痛を来したり、深部に真珠腫と呼ばれる骨を破壊していく病気が新たに発生するなどし、重症化した場合には外科的治療が必要となります。

ですが一般的にこの外科的治療は耳の後ろを切開して行うなどやや侵襲が大きく入院治療が必要となります。

そこで、より侵襲が少なく日帰り治療ができないかと考え、PGAシートと呼ばれる特殊機材を用いることと目立つ傷としては耳の穴の上・前に小切開を置く方法での新しい治療方法を考えました。現在までに4例の方が背術を受けられ2年以上再発なく経過されております。

その治療方法についての報告をしてきました。


2つ目は、「リティンパR使用後に新生鼓膜の中耳腔癒着と真珠腫を形成した症例 」という症例報告です。

もともと鼓膜に穴が生じた際に、それを閉鎖するために、人工物を使う方法、皮膚や皮膚の下にある結合組織と呼ばれるものを使用する方法と大きく分ける2通りあります。

その中で近年リティンパと呼ばれる製品が新しく出たのですが、その施術を他院耳鼻科で受け、穿孔閉鎖には至らなかった事に加えて新生鼓膜が耳の奥と癒着し、かつ真珠腫(周囲の骨を破壊していく)が新たに発生したため、当院で鼓室形成術を行い、鼓膜の閉鎖と真珠腫・癒着した新生鼓膜の摘出を行ったというものです。

リティンパにはbFGF製剤が使用されており、近年真珠腫にbFGFレセプターが正常外耳道皮膚よりも優位に多く発現していることや、過去に同薬剤を使用した別な人工物による鼓膜閉鎖を行った際に新生鼓膜が中耳腔と癒着して形成されたという報告、ラットを使用したモデルでは肉芽形成が中耳腔にみられたなどの報告があります。

その適応と施術に関して気をつけるべき点などを小生なりに検討し、意見を述べてきました。(当院では閉鎖率の観点から、自分の組織を使用した鼓膜の閉鎖をメインに行っています。当院での自家組織を使用した閉鎖率は99%であり、リティンパによる閉鎖率は約7割と報告されています)。

もちろんリティンパにはリティンパなりの良さというものがあるので、今後、「このような症例では良い適応となって、このような症例では注意して施術を行い、場合によっては鼓室形成術へと切り替えた方が良い」などの具体的な指針を当院なりに出していければと考えております。



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