鼻の病気・治療

鼻という器官は、人体が活動する上で必要な酸素を豊富に含む空気を体内に取り込む上で非常に重要な器官です。口で空気を取り込むよりも、鼻を通して空気を取り込む事で加湿された空気を肺へと送り届ける事ができます。

さらに鼻というのは、においを感じ取る重要な部分でもあります。古くから人々は香りを愛し、香道という形で香りを楽しむ文化を発展させてきました(織田信長、徳川家康、明治天皇も香りを楽しみ、蘭奢待という名木をこぞって欲しがったという話もあります)。また、匂いを感じ取るというのは、単に香りを楽しむだけのものではなく、人体を危険なガス等から遠ざけるためのアラートシステムでもあります。

この鼻の状態が不良になると、鼻水、鼻づまり、鼻水が喉に落ちる、口呼吸からの口腔内・咽頭乾燥感(口や喉の乾燥感)、舌カンジダ(舌にカビができる)、鼻や顔の痛み、香りがわからない、味覚の低下(風味がわからない)、咳などの症状を引き起こします。

うまく鼻呼吸ができないと、年齢や体型によってはイビキや睡眠時無呼吸などを引き起こすこともあります。

鼻の病気

① アレルギー性鼻炎

何かしらの物質(抗原)に対してアレルギー症状をきたし、鼻水、鼻づまり、くしゃみを頻回にきたします。治療はまずは内服、点鼻薬を中心に行います。治療抵抗性の場合は、鼻の粘膜をレーザー等で焼灼する方法や、反応の元となる神経を切断するなどの手術治療や、反応の原因となっているものを徐々に体に取り込み反応を弱くさせる(減感作療法)といった治療もあります。

原因は様々であり、春にはスギやシラカバ、夏〜秋では草花の花粉といった季節性のものや、その他通年性のものではハウスダスト、ダニ、猫のフケなどあります。何にアレルギーがあるのかは、採血検査である程度把握する事が出来ますので、気になる方は当院含め一度近くの耳鼻科でご相談ください。

② 急性・慢性副鼻腔炎

俗に言う蓄膿症です。鼻の中は簡単に言うと家のような形をしています。家は玄関があり、そこからメインとなるリビングがあり、そこに繋がるようにキッチン、トイレ、浴室、ベッドルームなどお部屋がつながっています。鼻も一緒で、鼻の入り口が玄関です。

そして、鼻本来の空間である鼻腔へと入り、そこにつながるようにいくつかお部屋があります。このお部屋が副鼻腔と言われる部位です。頬の部分、目と目の間の部分、おでこの部分、脳に近い深部などに副鼻腔が存在します。この副鼻腔に炎症が起こるのが副鼻腔炎です。急激に発症するのものを急性、だらだらと炎症が続くものが慢性として分類しています。

症状は顔面の痛み・重苦しさ、鼻づまり、鼻汁、鼻水が喉に垂れる(後鼻漏)、においがわからないなどです。

治療は内服、点鼻治療をまずは行いますが、改善が見られない場合、手術を考慮します(ただし状態による)。近年の手術方法は細い内視鏡を見ながら手術を行う内視鏡下鼻副鼻腔手術が一般的です。これは鼻の入り口から入れた細い内視鏡を通して手術を行うため、見た目には手術をしたかがわかりませんし、負担もとても少ないものです。

③ 鼻中隔湾曲症

鼻中隔というのは、右の鼻と左の鼻を分ける壁の事です。事故などで鼻を打つ事で起こる事もありますが、一般的に鼻中隔は左右どちらかに大抵曲がっています。この壁は、軟骨と骨で主に構成されていますが、それらの成長速度に差があるために起こります。

これ単独ではほとんど症状を呈しませんが、アレルギー性鼻炎などが加わると、粘膜が腫れて狭くなるため、鼻中隔の曲がりが強い方は容易に鼻がつまってしまいます。薬による治療はないため、よほどひどい状態の場合は外科的に修正する必要があります。

④ 嗅覚障害

においがわからなく状態です。風邪をひいたあとから、刺激臭を嗅いだ後からなどの何かしらの誘引の後に起こる事が大抵です。

 

においを感じ取る神経は鼻の中でも上方にあります。そこに、においの物質が辿り着く事で、においを感じることができます。そのため、鼻の粘膜が腫れたり、ポリープや腫瘍があるなどにより物質が神経へとたどり着かないと、においがしなくなります。その他、においを感じ取る神経自体が腫瘍化したり、アルツハイマーやパーキンソン病の初期症状としてこの嗅覚障害が起きる事があります。

様子を見ずに耳鼻科医の判断を仰ぐようにしてください。

⑤ 副鼻腔腫瘍・癌

あまり知られていませんが、実は鼻の中にも腫瘍や癌が出来ます。主に喫煙が原因となりますが、喫煙とは関係ない腫瘍もあります。

症状は鼻炎や副鼻腔炎と同様な症状で発症する事も多いため注意が必要です。以前はこの病気になると顔の一部を腫瘍ごと除去する手術が行われていましたが、近年は超選択的動注療法という治療法が広まっています。

これは、足の付け根からカテーテルを挿入し、腫瘍を栄養している血管を同定後、直接その血管に抗がん剤を流すという治療法です。北海道大学病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座では海外から国内にこの技術を持ち帰り、国内でも一早くこの治療に取り組み、良好な治療成績をあげられております(本間明宏 医師:私が尊敬する医師の一人)。そのため、当院ではこのような患者様は北海道大学病院へと紹介させていただいております。

ただし、他にご希望の病院がありましたら遠慮なくお申し付けください。


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